F1グランプリで有名なモナコのすぐ隣、南仏コートダジュールのリゾートタウン、マントン。F1グランプリよりも多くの人が訪れたこともあるといわれるマントンの2月の一大イベントが「レモン祭り」です。今回は、お祭りの由来や、マントン名物でありフランスの国民的お菓子、レモンパイを紹介します。
マントンのレモン栽培と、お祭りの由来は?
観光地、バカンスの地として知られるコートダジュールのマントンは、美しい街並と青い海が広がり、優雅な気分にさせてくれます。南仏のマントンは、温暖な気候と土壌に恵まれています。北にはアルプスの山脈や丘があるので強風や北風の影響もなく、レモンの栽培に絶好の環境。太陽の日差しをいっぱい浴びながら育ったマントンのレモンは、通常のレモンより大きく、実は鮮やかな黄色、肉厚の皮が特徴です。香りが芳醇なうえに、酸味が控えめで美味しいレモンが栽培できることで知られます。
1920年代には、マントンのレモンの生産量がヨーロッパで一番になりました。そこで、ホテルの経営者たちは、バカンスのオフシーズンでレモンのシーズンでもある冬の間に、マントンの町おこしをしようと考えました。レモン祭りは、ホテルの庭に花やレモンなどの柑橘類の展示をしたのがきっかけではじまったと言われています。翌年には、町全体でレモンを使ったオブジェの展示やパレードで山車などが登場するかたちで開催されるようになりました。レモン祭りは、毎年2月から3月の間に開催されますが、近隣のニースのカーニバルと開催時期が重なっているため、一緒に訪れる観光客が増えているのだそうです。
レモンとオレンジでびっしりと飾られた圧倒的なオブジェと華やかなパレード
マントンのレモン祭りは、年々盛り上がり、盛大なパレードを見ようと、世界中から訪れる人が増えてきました。毎年、180トンものレモンなどの柑橘類を使い、大きな山車やオブジェをいくつも作ります。パレードには昼と夜の部があり、特に夜の部のコルソと呼ばれる山車のパレードは、イルミネーションに照らされとても幻想的!さらに、賑やかな音楽とかぐわしい柑橘類の香りも相まって、五感を刺激するのです。
山車のパレードは、毎年テーマが変わるのも見どころのひとつ。世界各国のイメージでつくられたものなど様々なオブジェたちが展示されます。過去には、「ブロードウェイミュージカル」のテーマで「メリーポピンズ」や「キャッツ」など、みんながよく知っているミュージカルのキャラクターがパレードに登場し、会場を賑わせたことも。
ところで、パレードで使われた、たくさんのレモンはその後どうなるの?と思われるかもしれません。パレードが終わったらジャムやリキュールとして加工できるように、釘などを一切使わず、柑橘類を傷めないように配慮されています。
地元作り手のクラフトフェアや果樹園ツアーなど、様々な催しが盛り沢山!
レモン祭りでは、パレードの他にも庭園に巨大なモニュメントや建造物が展示されます。その庭園では、柑橘類を栽培する地元の生産者がブースを作り、しぼりたてのレモネードや旬のレモンを加工したジャム、レモン入りオリーブオイルやエッセンシャルオイルなどのクラフトフェアを開催します。さらに、生産者や山岳地帯の果樹園をめぐるツアーも企画されるなど、2週間ほどという短いレモン祭りの間に盛りだくさんの催しが開かれます。
みんな夢中になるフランスの国民的スイーツ、旬のフレッシュなレモンをたっぷり使ったレモンパイ、「タルト・オ・シトロン」は絶品!
フランスの国民的お菓子「タルト・オ・シトロン」はご存じでしょうか?タルト生地にレモンクリーム、その上からふわふわのメレンゲで覆ったレモンパイです。フランスのパティスリーでは必ずと言ってもよいほど店頭に並んでいるポピュラーなお菓子で、レモンの酸味とコクのあるバター、そしてふわふわのメレンゲのコントラストは、クセになる美味しさ!南仏コートダジュールに思いをはせながら、レモンパイを頬張り、春の訪れを感じるのも素敵ですね♪